ロックなギター弾きになりたかった。
14歳の頃から始めたギターを10年以上弾き続けた。
ライブだって、毎月2本以上やった。
バンドで演奏するのが、楽しかったのだ。
ロックはもちろん、ブルースもジャズも、ヘビーメタルもハードコアも、パンクだって、レゲエだって、R&Bだって、なんでも聴いた。
でも、クラシックだけは馴染めなかった。なんか、世界が違うというか、身体に染みてこない。
昨年、グレン・グールドというクラシックピアニストのシアターがあるから、見に行こうと誘われた。
まったく興味がなかったけど、どうしても見て欲しいと言われたので、「寝ても絶対怒るなよ」と一言添えて見に行った。
久しぶりの衝撃だった。映画館を出た僕の体は、全身熱くなり、頭は痺れていた。
グレン・グールドの演奏は、最高だった。魂の、塊なのだ。
あまいマスクで一心不乱に鍵盤を叩くグレン・グールドに惚れてしまったらしい。
早速アルバム三枚分、ipodに入れた。家ではあまり聴かないけれど、車で移動する時はよく曲を流す。
クラシックを聴くなんて、まるで貴族にでもなったような気分になる。
この間、古本屋のCDコーナーをのぞくと、なんと、グレン・グールドの「ベートーベン全曲集」が置いてあった。
棚から手に取り値段をみる。
『20,000円』
「中古なのに?」
見て見ぬ振りをして、何事もなかったように手にしたCDを棚に戻した。
貴族には……、まだまだ遠いな。
(注:二枚目の写真の楽譜は、グレン・グールドと何の関係もありません)
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